2016年 01月 20日
『十二の贄 /三津田信三/角川ホラー文庫 |
孤児として育った中学生の悠真は、或る日突然現れた弁護士の久能によって、莫大な資産を有する企業グループを束ねる大面幸子の子供であると知らされ、大面家に引き取られる。そこには7人の異母兄姉と5人の叔父叔母がいた。歪な家族構成ながら悠真にとっては夢のような生活が続いたが、幸子が亡くなり奇妙な遺言状が見つかった時から、大面家の状況は一変する。
シリーズ第5弾。書き下ろし。
三津田さん作品の中ではゆるめの作風で、それが持ち味のシリーズなのですけど、今回はゆるいとい うよりも薄いといった方が良い感じでしょうか。
2つの遺言状、黄道十二星座のアスペクトを絡めた複雑な遺産配分ルール、幸子が生前連れ帰ったという、弥勒教に纏わる得体の知れない”何か”。そしてここにもチラつく黒術師の影ー。お膳立ては非常にそそられるものがありますが、実行編、解決編は肩透かし。色々な要素が消化不良気味の、残念な展開に思えます。前半の悠真の戒檀巡りのエピソードは、正に三津田さんという感じで良かったのですけどね。長編でじっくり読みたかったかな。
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by sachiko_kaleido
| 2016-01-20 10:05
| 読書 三津田信三